①-6. ピアノ上達の為に外国人的なリズム感覚・身体感覚は必要?
外国人的なリズム感覚・身体感覚が、ピアノという楽器を演奏する事においてどのように影響しているのでしょう?
ピアノという楽器は1700年代後半にイタリア人によって発明された楽器で、日本に持ち込まれたのは鎖国をしていた1823年の江戸時代と言われています。日本で長く教えられている基本的なピアノの奏法もこの時代に入ってきました。
ピアノは日本人にとって長い歴史があり、親しみやすい楽器の一つとなっていますが、現在もクラシックピアノの本場はヨーロッパであり、ピアノを習う為に日本の音大を卒業してから留学をする人がたくさんいますが、それは何故なのでしょう?何を求めて皆さん海外へ留学されるのでしょうか?
実はピアノはヨーロッパ人がヨーロッパ人のアップビートのリズム感覚、身体感覚を元に作った楽器であり、和太鼓などの日本の伝統楽器と違い、日本人のダウンビートのリズム感覚・身体感覚で上手く弾けるようにそもそも作られてはいません。日本人が日本で習うピアノ奏法とヨーロッパ式の奏法は異なっているのです。
最近ではYouTubeなどでいろんな国の人の演奏を気軽に観れるようになりましたが、是非観て頂きたいポイントは、クラシック、ジャズに関わらず、日本人と外国人ではピアノの弾き方が全く違う、という事です。
私はこれまでいろんな国のミュージシャンと接する機会がありましたが、欧米人のピアニストで、日本の教育で広く常識とされてきたピアノの弾き方をする人に一人も出会った事がありません。(手は丸くたまごを持つように、指を一本ずつ上げ下げする、音を膨らませるように、、など)
指先だけに注目するのではなく、土台となるカラダ全体の動かし方が根本的に違う、という点に注目してください。
私が長年音源から聴こえてくるようなピアノの音が出せない、と感じていた原因も、実はこのカラダ全体の動かし方の違いにありました。
ヨーロッパでは1800年代に入りピアノが楽器として進化すると共に、ピアノの奏法もどんどん進化していきました。チェンバロというピアノの原型となった楽器が主流だったバッハの時代の奏法と、ピアノがより近代的に進化していったショパン以降の時代の奏法はまるで違うのです。

日本でよく指導されている、指を一本ずつ上げ下げして動かす、という教則は、実はピアノがまだ誕生間もない、軽いタッチの鍵盤の頃のものと言われています。ヨーロッパではピアノの進化に伴って、作曲家はペダルを使った広い音域を使う曲を作り、奏法も指先でだけはなく全身を使って弾くように進化しました。

長い間ピアノを習ってきたけれど全然弾けるようにならなかった、カラダを痛めてしまった、という人をたくさん知っていますが、実はそれは、現代のピアノに合っていない奏法でピアノを弾こうとしている事、リズム感覚や身体操作の感覚が外国人の作曲者と同じでは無い事が、大きな要因になっていると思います。
外国人的なリズム感覚と身体感覚が身につけば、基礎的なピアノ練習の効率も格段に上がります。楽器を作った人、作曲家、演奏家と同じ身体感覚で練習に取り組むのが一番効率が良い、という事なのです。
逆に言えば、日本の常識を元にガムシャラに取り組んでも、大きく回り道をしたり、目標に到達出来ない可能性が高いと思います。実際私も日本を出るまで気付けなかった事がほとんどでした。
また、この外国人的なアップビートのリズム感覚と身体感覚を身につける事は、ピアノを含めた全ての楽器のテクニック向上のために必要な共通のエッセンスだと思います。ドラムやベース、サックスなどの楽器も、全て日本以外の国で生まれたものだからです。
