①-8. アップビートを意識したピアノの奏法
それでは次にアップビートを意識したピアノという楽器の弾き方について考えていきましょう。
私の講座を受講される方は、過去にピアノの経験があり、ジャズピアノに挑戦しようとしたけれど何から手をつけたらいいかわからない、あるいは実際にやってみたけれど難しくて挫折してしまった、という方が多いのではないかと思います。
日本人がピアノ演奏においてジャズfeelを上手く表現出来ない原因の一つとして、日本人的なピアノの弾き方にそもそもの問題があると思います。
ピアノは鍵盤を指で上から下に向けて押すもの、という感覚です
ピアノを習った事がある方は、ピアノを弾くときはたまごを持つように手を丸めましょう、そして手首を動かさず、指を1本ずつしっかりあげて下ろしましょう、という風に習った事はありませんか?

この指先を高く上げる、いわゆるハイフィンガー、と呼ばれる奏法ですが、このような教え方をしているのは恐らく日本だけ。少なくとも私の知る限り、このような弾き方をしている外国人のピアニストを見た事がありません。
人体の構造上、指先に力が入ると腕、肘、肩、背中だけでなく全身の筋肉も硬直してしまいます。
試しに手をブラブラと振りながら指先にガッと力を入れてみてください。途端にブラブラとした手の動きが止まりませんか?
もう片方の手で力を入れた腕を掴むと、腕全体が硬直しているのを感じるとおもいます。この腕が硬直した状態で、鍵盤を1本ずつ上から押す、という日本式のピアノの弾き方の場合、手の筋肉や指の関節に大きな負荷がかかります。(ダウンビート)
一方で欧米式の奏法では、指の付け根(第三関節)から手を動かします。キュッと手のひらをすぼめると、横から見ると三角形の形になるような動きです。付け根の動きに連動して指先も動くはずです。その状態だと腕は硬直しません。
外国人は体感を中心に、体の背面の筋肉を使って体を動かしています。股関節、骨盤、背筋、肩甲骨、そしてそこに繋がっている手足がブラブラと動いている、という感覚です
下半身から上半身、肩甲骨から肩、肘、手首、指の付け根の関節が連動すると、手が指先までムチのようにしなって動きます。このしなりによって、自然と手は打鍵の直後には上へと上がっていくのです。(アップビート)
どうでしょう?
肩こりに悩む現代日本人のカラダの感覚とは、どうやらかなり違うような感じがしますよね。
このムチのような動き、手が上へ上がる、という感覚は、言葉や歩き方と同じで、1歩ずつ踏み締める、上から下へ頭を下げる、お辞儀をする、という腹筋中心の日本人的な体の使い方ではなかなか感じる事が出来ません。
私の講座では、まず、ピアノをストレス無く弾くために、この手足がブラブラと繋がっている、というカラダの状態を目指します。そして下半身から上半身、肩甲骨から指先までを連動させた、脱力した状態でのピアノの奏法を指導します。興味がある方は是非講座にお申し込みください
実はジャズピアノのfeelを適切にピアノで表現するためには、このアップビートでピアノを弾く、という身体感覚が不可欠です。聴こえてくる通りに音を弾いているハズなのに、ちっともジャズらしく聴こえない、という悩みがある方は、間違いなく日本的なダウンビートの身体感覚でピアノを弾いていると思います。
外国人のような体幹を中心としたキレのあるダンスがすぐ踊れないように、そもそも日本人はピアノを弾くための身体感覚を持っていません。まずは自分の体がどのように動いているのかに注目し、日本人的な体の使い方を一つづつ見直して行く必要があります。
そして最終的には完全に体が脱力した状態を目指します。ここで言う脱力とは、力が入っていないふにゃふにゃした状態を指すのではありません。自然で何も意識しない状態、体が自由に感情で思った通りに動く状態の事です。
「弾きたいと思っている音のイメージ」「リズム感」「楽器を弾くためのカラダの状態(身体感覚)」これら全てが一直線に揃っている時、練習は最大限の効果を発揮します。

