①-3. ダウンビートとアップビート
4拍子の音楽の場合、日本語では「1と2と3と4と」のように拍を数えますが「1 2 3 4」の部分を表拍、「と」の部分を裏拍と言います。
ここでは、表拍の事を「ダウンビート(オンビート)」、裏拍の事を「アップビート(オフビート)」という言い方で統一します。強迫、弱拍、という言い方もありますが、実際の音の強弱を表しているのではなく混乱してしまうので使いません。

日本語:表拍起点「沈むリズム:ダウンビート」主体

英語:裏拍起点「弾けるリズム:アップビート」主体

ここで一番大事なことは、リズムには「ダウン」「アップ」という方向がある、という事です。
このリズムの表裏に対して方向の概念がある事を日本人は感覚的に理解しづらいと思います。
日本語はダウンビート主体の言語のため、英語(などの言語)を話す外国人が当たり前に感じている裏拍のアップビートというリズムの概念を掴むことが難しいのです。
皆さんはコンサートに行った時、演奏が終わると拍手をすると思いますが、どうやって手を叩きますか?あるいは神社へお参りに行った時はどうでしょう?
体の前で手をパチパチと合わせて音を出しますよね。その時、恐らく両手は体の前で合わさったまま、閉じた状態だと思います。
ところが、外国人の拍手(clap)は全く違います。手首のスナップと共にパンと音が鳴った瞬間には両手は離れているのです。ブラボー!パンパンパン!という感じですね
この言葉のリズム、手の叩く方向性の違いが、日本人と外国人のリズム感覚の違い、カラダの使い方の違いを端的に表しています。
例えば「踊り」。日本人に馴染みがあってイメージしやすいのが音頭リズムで踊る「盆踊り」ではないでしょうか


どうでしょう?頭の中で和太鼓のリズムが自然とイメージ出来ませんか?
太鼓の拍子に合わせて体や頭が下に向かって動きます。拍の頭に合わせて手拍子をパチンと叩きたくなりますよね。「あらヨット」みたいな合いの手の掛け声もイメージ出来るのではないでしょうか。初めて参加する人でも、きっと違和感なく盆踊りの輪の中に入っていけると思います。
では次に日本からみて地球の裏側、ブラジルの「サンバ」はどうでしょう


これはサンバのリズムを構成するタンボリンという楽器のリズムパターンを表していますが、裏拍のアップビートを起点としてリズムが始まっています
Dr Capitalによるサンバのリズム解説と実演(12:18~)
実はこの裏拍のアップビートで感じるリズムパターンを日本人は直感的に感じる事が出来ません。盆踊りとは真逆のリズム感覚であるためイメージとして捉える事が出来ず、その理由が実は言語から由来している、という事にもピンとこないのです。
日本で外国の音楽を学習する方の多くは、この日本と外国のリズム感覚の違いを、音源を聴いたり譜面を見て「日本語、あるいは日本人的な身体感覚のまま」理解しようとしています。
外国人が演歌を上手く歌えない理由も、これと全く同じ理由によるものです。
つまり、外国の芸能を勉強しようと思った時、まずはその文化のベースとなっている言語感覚と身体感覚を理解しなければ、イメージしている動きや音を出す事は出来ない、という事なのです。
このアップビートのリズム感覚に慣れるために、まずは常に裏拍から英語で数を数える習慣をつけると良いでしょう



「and one(エワ ) and two(エツ) and three(エスリ ) and four(エフォ)」
